血圧と塩
ナチュラルメディカル高崎 院長の福田歩です。
血圧を気にして塩分を控えている人がいます。
当院でも食事指導の際、しばしば話題になります。
血圧と塩分について、あなたはもしかしたら
科学的に考えずに
間違った常識を信じ込んでいるかもしれません。
まず、高血圧には2つのタイプがあります。
食塩を控えることで血圧が下がるタイプの高血圧症と
そうでない高血圧症があるということです。
日本人の高血圧患者のうち
6〜7割が『食塩非感受性の高血圧』だと言われています。
もう一つ、別の視点からも考えてみましょう。
血液中のナトリウム(Na)とカリウム(K)の
濃度は厳密に調節されています。
血液中では “Na ⇄ K” という平衡関係があります。
つまりNaを過剰摂取すれば
Kはおしっこで排出されて血中濃度が下がります。
逆にKを多く摂取すれば
Naが尿で多く排出されます。
食塩感受性の高血圧では、Naが血圧を上げます。
つまり、Kを多く摂ることでNaを排出して
血圧を下げることができます。
昆布、ひじき、大豆、ほうれん草など
カリウム(K)を多く含むものを食べるのも良いでしょう。
“にがり” の入った天然塩を使おう!!
昔は、塩といえば専売公社の赤キャップの塩でした。
いわゆる精製塩で塩化ナトリウム99%以上です。
これはナトリウムですから、
食塩感受性の高血圧患者さんは控えた方が良いですね。
では、“にがり”の入った塩はどうでしょうか?
これだけ見ると、
食塩相当量(= NaCl)がカリウム(K)より
圧倒的に多くみえますが、そうではありません。
体の中のNaとKのバランスはどうなっているでしょう?
図の赤丸の中を見ていただければ良いのですが、
血中ではNa:K = 140:4 の比率が正常です。
(ただし、 g(重さ)ではなく mol(分子の数)の比です)
上述したように、
血中のNa/K比は平衡関係にありますから、
Kを多く摂取すればNaが排出され、
食塩感受性の方にとっても血圧降下の方に寄与するはずです。
そこで、計算してみました。
ご興味のある方は私の計算が間違っていないかご確認ください。
高校1年生の化学の知識で解けます。
血液中の正常値はNa:K = 140:4 に対して、
『瀬戸のほんじお』はNa:K = 140:2.05 でした。
つまり、ナトリウムに対してカリウムが少ないので、
食塩感受性高血圧の方は、天然塩でも
血圧が上がる方向に働きます。
それでも、精製塩を使うよりはその影響は軽減されます。
塩といえば専売公社の赤キャップだった時代とは違います。
天然塩がスーパーで簡単に手に入ります。
血圧が上がるメカニズムについても
昔より詳しくわかってきました。
高血圧と塩分摂取が関係している人もいれば
そうでない人もいます。
「高血圧だから塩分を制限しなくてはならない」
という常識は、あなたの場合、
本当に当てはまるのでしょうか?
自分で料理する人は天然塩を使ってください。
外食や調理済みのお弁当やお惣菜を多く買う人は
どんな塩が使われているかわかりませんから、
とりあえず「塩分を控える」という考えも
間違っていないかもしれません。
「自分にとってはどうなのか?」を
考えることが大切です。
血圧計をを持っている方は
ご自分で測って確かめれば良いですよね。
塩分を控えると、あなたは血圧が下がるのか?
外食が増えたら、あなたは血圧がどう変化するのか?
天然塩や昆布、大豆などで自炊にこだわったら、
あなたの血圧はどう変化するのか?
結果がわかったら、ぜひ教えてください。