いつまでも若々しくあるために
こんにちは。
ナチュラルメディカル高崎 院長の福田歩です。
NHKスペシャルで、タモリさんと山中伸弥先生のダブル司会で『人体 III』のシリーズが放送されています。
5/11(日)は『第2集 細胞40兆 限りあるから命は輝く』が放送される予定です。
予告を見る限り、
今、世界中でものすごい勢いで研究されている
アンチエイジング(老化にあらがう、若返り)の研究が紹介されるようです。
私自身非常に興味を持ってフォローしている分野ですし、
整体に通われているクライアントさんの中にも
「いつまでも若々しくありたい」という方が多くいらっしゃいます。
また、若い人で癌(ガン)になる人は稀ですが、
50歳代から癌の罹患率が増加しはじめ、
60歳代以降で顕著に増えていきます。
このような老化に関連して増える病気を防ごうという研究が盛んなのです。
今日は、そんな老化研究の中から
「最先端の研究からわかった “若くある方法” は
昔から言われていた当たり前のことだった」
という話題をご紹介します。
老化しない生き物もいる
人間にとって年齢とともに老化していくことは当たり前の現象ですが、
老化しない生き物がいます。
ゾウガメ、ハダカデバネズミ、ヒドラなどです。
老化しない生き物は長生きです。
ゾウガメは200歳を超す個体もいますし、
マウスの平均寿命が28ヶ月(約2年)なのに対して
ハダカデバネズミの長寿記録は37歳だそうです。

長寿で、見た目が若い頃から変わらない
しかも老化による病気にかからない
「不老」ではあっても「不死」ではない
しかも、見た目が若い頃からまったく変わらない!!
「永遠のハタチでーす!!」
と言いながら長生きして、寿命が来たらポックリ。
老化による病気にもかからないので
ピンピンコロリを地で行く生き物たちなのです。
こんな生き物がいるのだから、科学者たちは
「老化は生命にとって必ずしも必然の現象ではない」
と考えています。
つまり、「老化は克服できる」と科学者たちは考えているし、
その研究の進展の早さから、
「人類が老化を克服する日は近いのではないか」
と期待されています。
そんな日が早く来てほしいですね。
日本人がノーベル賞をとった『オートファジー』
そんな老化研究にも関係する分野で
日本人がノーベル賞をとりました。
東京工業大学の大隈良典先生が酵母菌(イースト菌)で発見した
「オートファジー」という生命現象です。

簡単にいうと、細胞の中の空間(上の図の□の空間)を
“投網で魚をとる” ように袋で囲み(上の図の□の空間)、
投網の袋(オートファゴソーム)と分解酵素が詰まった袋(リソソーム)を合体させて、
中身をバラバラに分解してしまいます。
車をバラバラに分解して、金属やプラスチック、ガラス
といった原材料に戻したとします。
その材料であらためてエンジンやボディー、シートといった
パーツを作り直して組み立てれば、それは新車です。
このように、細胞の中の
タンパク質や脂質(車で言えばネジのような細かな部品)や、
ミトコンドリアなどの細胞内小器官(車で言えばエンジンのような機関)
を常に新品と交換して、細胞をフレッシュに保つ働きを日本人が発見したのです。
別の例えをするなら、常に新しいお湯が入ってくる
“源泉掛け流しの温泉” みたいなものです。

いつまでも健康で若々しくいられる!!
夕飯は早い時間に! 空腹で寝よう!
ノーベル賞を受賞した大隈先生は酵母菌でオートファジーを見つけましたが、
この生命現象は酵母のような真菌類だけでなく、
動物や植物にいたるまでが普遍的に持っています。
大隈先生は酵母菌の実験ノウハウを持っていましたが、
哺乳類の研究ノウハウを持っていませんでした。
そこで、哺乳類の研究が得意な吉森保先生(現・大阪大学)
を助教授に迎えて共同研究しました。
(大隈先生と吉森先生 @ノーベル賞授賞式会場の写真)
吉森先生はオートファジーの働きを抑制する
タンパク質を発見して「ルビコン」と名付けました。
ルビコンが増加すると老化が進み、健康寿命が短くなります。
ルビコンは加齢にともなって増加します。
ルビコンは高脂肪食摂取時に肝臓で増加し、
脂肪肝(加齢にともなって増える疾患)の病態を悪化させます。
なので、
ルビコンの働きを適度に抑える薬ができれば老化を止めたり、
老化によって増える病気を予防・治療できたり、
長生きできるようになる可能性があります。
そんな薬ができたらいいですね。
そんな薬ができるまでは
脂肪が多すぎる食生活を控えたら良いですね。
もちろん脂肪も体に必要な栄養素ですから
良質な油を必要な量食べた方が良いです。
そのほかにもいろいろなことがわかっています。
⚫︎ 運動するとオートファジーが盛んになります。
⚫︎ 納豆やチーズに多く含まれるスペルミジンというタンパク質は免疫力を高めます。
歳をとると免疫力が低下する原因のひとつは、
抗体を作る免疫細胞(B細胞)の老化です。
お年寄りの血液から採取したB細胞にスペルミジンを加えたら
オートファジーが活性化して抗体を作るようになったという実験があります。
スペルミジンは食品から摂取しても吸収されて効果を発揮するので、
納豆やチーズを食べましょう。
⚫︎ 飢餓状態(カロリー制限)によってもオートファジーが活性化して寿命がのびます。
「飢餓」と言うと極端な断食を連想するかもしれませんが、
空腹状態でもオートファジーはそれなりに活性化します。
⚫︎ 夜間、寝ている間にオートファジーが最も活性化します。
この2つの事実のかけ合わせから、
夕方6時〜7時くらいの早い時間に夕飯を食べ、
間食をせず、お腹を空かせて寝れば老化を防げます。
逆に、遅い時間、特に寝る直前に食べると老化が加速します。
・脂肪を摂りすぎない
・適度な運動をする
・納豆やチーズ(発酵食品)を食べる
・寝る直前に食べない
最新の研究からわかってきたことは、どれも常識的な健康法でした。
興味を持たれた方は5/11(日)の『人体 III 第2集 細胞40兆 限りあるから命は輝く』や、
吉森先生の対談をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=RRY0IcjuvAk&t=10s